【剛体のつりあい】力のモーメントの基礎を学ぶ
![]() (1)棒ABが糸から受ける力の大きさを求めよ。 (2)棒ABが端Aで受ける力を求めよ。 |
力のモーメントの問題を解きます。
力のモーメント自体は、「てこの原理」として小学校から習ってきていると思います。
なので、あとはそれを使って問題が解けるかどうかが問題です。
力のモーメントの問題ですが、多くの場合、
「力のつりあいの問題をやり慣れているか?」
「ベクトルを書き込むことができるか?」
などの基礎的な内容が問われてきます。
なので、それを復習しつつ問題を解いていきましょう。
Index
解き方のコツ
では、力のモーメントの問題に関しても手順化していきましょう。
手順化することで、どんな問題であっても同じパターンで解くことができるようになります。
それと、問題文の回転の意味がわかりましたか?
下の図ように回転するという意味です。
つまり、90°回転すると、棒ABは壁にぺったりくっつくわけです。
手順1:力のベクトルを書き込む
まずは、力のベクトルを書き込んでいきましょう。
力学と言えば、まずこの作業ですね。
(力学的エネルギーの問題では使わないときもありますが・・・)
ちゃんと、力のベクトルを書き込む手順を覚えていますか?
「ベクトルを正しく全部書き込めない(-_-)/」と言う方は、下記のページにまとめてあります。

さて・・・みなさん書き込めましたか?
念のためここでアドバイスです。
このサイトの「物理の解き方と心得」にも書きましたが、
「もしも、現実世界でこの問題の状況が存在したら、このあとはどう動くだろう?」
と想像する力は重要です。
今みなさんが書き込んだ「力のベクトルたち」それらだけで、棒ABは水平を保ちますか?
今一度、想像して見てください。
何か不足があるかもしれませんよ!
というわけで、答えあわせです。
以下が私の書いた図です。
当たってましたか?
緑色の張力は勝手に「T」と命名しました。
また、青色のベクトルは勝手に、x方向のものを「Fx」, y方向のもの「Fy」と命名しました。
「Fx」の方は、作用反作用の法則から予想してかけたと思います。
忘れがちなのは、「Fy」です。
よく考えるとわかるのですが、「Fy」がないと、ずるっと滑ってしまい、
下の図のように棒ABはどう頑張っても水平を保つことができません。
これに気づいてもらうために、先ほどのアドバイスをしました。
また、問題文に「重さ」と書いてあるので、
重力によるベクトルの値(赤色のベクトル)を「Wg」や「9.8W」としてはいけませんよ!
その理由が怪しい人は、このサイトの「高校物理専門用語集 1.1 重さと質量」を確認してください。
手順2:力のベクトルを合成・分解する
次に、ベクトルを比較できるように、ベクトルの分解or合成をしましょう。
今回は、最も簡単そうな、「T」を分解することにしましょう。
「どうしてTを選んだの?」と思った人は、次の記事をチェック!

分解した結果が次の図です。
手順3:力のモーメントのつりあいの等式を立てる
さて、最後の手順です。
力のモーメントを求めて等式を作りましょう。
この問題では、棒ABは端Aを中心に回転するはずですが、棒ABは水平を保っているという記述があります。
ということは、力のモーメントはつりあっているはずです。
まず力のモーメントを求める際には、中心を定める必要があります。
その中心は「端A」で問題ないと思います。(問題文にそう書いてありますから
よって、端Aを中心として考えると、
力「W」は”時計回り”に棒を回転させようとしています、
力「Tsin30」は”反時計回り”に棒を回転させようとしています。
ということは、これらの力のモーメントがつりあってないと変ですよね?
力のモーメントは、「力の大きさ×中心からの距離」であることを踏まえると、
「\(W × \frac{1}{2}L = Tsin30 × L\)」が成り立つ。
あとは、当然ですが普通の力のつりあいの式も作ることができますね。
水平方向のつりあいより、「Fx = Tcos30」
鉛直方向のつりあいより、「Fy + Tsin30 = W」
これで準備万端です!
なぜなら、未知の定数が「Fx」「Fy」「T」という3つであり、
等式を3つ作ることができているため、連立方程式を100%解くことができますから!
(1)棒ABが糸から受ける力の大きさを求めよ。
解答へのひらめき
つまり、「Tを求めよ。」という問題ですね。
大丈夫です。あれだけ下ごしらえをすれば解けます。
普通に、先ほど作った等式「\(W × \frac{1}{2}L = Tsin30 × L\)」を解きましょう。
計算の手順
「\(W × \frac{1}{2}L = Tsin30 × L\)」において、sin30 =
\(\frac{1}{2}\)であるため、 \(W × \frac{1}{2}L =\frac{1}{2}T × L\) →WL =TL →\(T = W\)
以上より、求める解は、W[N] |
(2)棒ABが端Aで受ける力を求めよ。
解答へのひらめき
この問題が指す「棒ABが端Aから受ける力」とは、
FxとFyを合成した力「F」のことです。
なので、とりあえずは、FxとFyを求めることにしましょう。
その後に、三平方の定理で合成すればOKです。
やり方は、手順3で作った等式を解くだけです。
計算の手順
「Fx = Tcos30」より、\(Fx = \frac{\sqrt{3}}{2} × T\)
「Fy + Tsin30 = W」より、\(Fy = W – \frac{1}{2} × T\) ここで、(1)より、T = Wであるため、 \(Fx = \frac{\sqrt{3}}{2}W\) \(Fy = \frac{1}{2}W\)
棒ABが端Aから受ける力をFとすると、 三平方の定理より、F2 = Fx2 + Fy2 であるため、 \(F = \sqrt{\frac{3}{4} + \frac{1}{4}}W\) →F = W
以上より、求める解は W[N] |