水圧と浮力の基礎問題を解く!
![]() (1) 円柱の上面と下面にはたらく水圧をそれぞれ求めよ (2) 円柱の表面積を S[m2] として、円柱の質量を求めよ ただし、大気圧を po[Pa] 、水の密度をρ[]、重力加速度の大きさを g[m/g2] とする。 |
さて、今回の問題は「水圧と浮力 」の基礎 問題です。
「水圧と浮力」の問題は、「なんとなくでしかわからないけど、あまり出題されないから・・・ま、いっか!」となりがちな問題な気がします。
いかんせん、公式が覚えにくいですしね・・・
でも、やらないわけにはいきません!
入試ではその1問で差がつくことがあるのです。
解き方のコツ
問題文を読む上で重要なことは、物体の動きに関する記述と、物体や力などの量に関する記述です。
今回の問題文で言えば、「円柱は静止し」という記述が重要なのです。
慣れてキタ皆さんなら気づきましたか?
「静止」したということは、少なくともこの時点では力は「つりあっていた」ということです。
つまり、等式を作ることができるはずですね。
これがこの問題を解くための最初の手がかりです。
ここで一応、水圧の公式を思い出しておきましょう。
※:単位を省略しました。
水圧: p = ρhg 浮力: F = ρVg (アルキメデスの原理より)
ただし、 p:水圧, ρ:水の密度, h:水深, F:浮力の大きさ, V:水中における物体の体積, g:重力加速度 である。 |
公式の暗記自体は、努力次第で誰でもできるものですから、努力を怠らず!
よければ、次の記事でチェックを!
(1)円柱の上面と下面にはたらく水圧をそれぞれ求めよ
とりあえず、いつも通り図に力を書き込みました。
といっても、p1,p2と記したベクトルは「水圧」ですので、pで表しました。
「ベクトルを正しく全部書き込めない(-_-)/」と言う方は、次を参考にどうぞ!

(1)は大して難しくないですね!
公式に当てはめるだけです。
水圧の公式「P = ρhg」という公式は、「水圧は、『液体の密度』に『圧力がかかる面が存在する深さ』と『重力加速度をかけて!』」
という意味ですね。その通りにしてあげましょう。
すると上面にかかる p1 は、p1=ρhg となるのは大丈夫だと思います。
そして下面にかかるP2に関しては、『面が存在する深さ』が h だけではなく、L の分だけ増えています。
なので、P2=ρ(h+L)g となります。
タダーーシ!ここで終わってはいけません
この円柱にかかる圧力は「水圧」だけではないはずです。
当然、液体の上には空気が積み重なっているのが普通ですよね?
我々が入浴するときだって、浴槽の上には空気がありますそれと同じです。
つまり、圧力としては、水圧+大気圧がかかっているはずです。
よって解は、「p1 = ρhg+p0 」「p2 = ρ(h+L)g+p0 」となります。
(2)円柱の表面積を S[m2] として、円柱の質量を求めよ
先ほどわかった、水圧を書き込んでみました。
皆さんならもう解き方がわかるんじゃないですか?
この記事の冒頭で言った通り、この問題のポイントは「静止」することです。
静止するということは、力がつりあい等式を作ることができます。
ただし! p1, p2は圧力であることを忘れてはいけません!!
つまり、力のつりあいの式を作るためには、圧力に面積をかけて力の大きさを求める必要があります。
ここでやっと、問題文に出てきた面積 S を使うことになるって寸歩です。
では、等式を作ってみましょう!
下向きの力と上向きの力のつりあいから、
ρhg×S + p0 + mg = ρ(h+L)g×S + p0 これを質量m について解くよう変形すると、 mg = ρ(h+L)gS – ρhgS + p0 – p0 → mg = ρhgS + ρLgS – ρhgS → mg = ρLgS → m = ρLS よって、円柱の質量mは、 m = ρLS [Kg] |
ついてこれましたか?
今回のポイントは、
「円柱にかかる圧力は、水圧+大気圧」であることに気づくこと
「静止している = 力のつりあい」を思いつくこと
この2つです。
そ〜し〜て!
この問題で浮力の正体が判明しましたね
浮力とは「上面に働く水圧と、下面に働く圧力の差から生まれる力」です。
この問題でわかった通り、絶対に上面にかかる水圧より下面にかかる水圧の方が大きくなります。
よって、上向きにかかる水圧の方が大きくなるために物体が浮いてきちゃうというわけですね!